常に自身をアップデートする止まらない好奇心
漫画だけでなく、映画や音楽といったカルチャーに造詣が深い江口さんは、それらからいつも大きな刺激を受けてきたという。常に新しいものへアンテナを張り、時代の変化にも敏感だ。最近、自身に変化をもたらしたと思うものについて聞いてみるとーー。
「音楽の聴き方とか映画の観方もいま変わっちゃいましたね。良くも悪くも環境が大きく変わりました。以前は買う目的がなくても、レコード屋には足繁く行ってたんです。ほぼ毎日行って棚をディグり、視聴していいなって思ったら買ったり。毎月すごい数のCDを買っていました。いまはサブスクでそれをやっている感じです。
いろいろザッピングして聴くとかはもうずっとしてます。サブスクで映画もいっぱい観ています。ものすごく観てるし、聴いています。なんか面白いの見逃してるんじゃないかっていう、それは昔から変わらない強迫観念みたいなもんですかね(笑)。人に、ちょっとこれいいよって言われたら、一応全部観るし聴くしね。まあ、そこから自分の好きなものを見つけるという。いまはNetflix、Amazonプライム、HuLu、TVer、paravi、あとなんだろ、色々入ってますよ」
67歳となったいまも自身をアップデートし続ける江口さんは、新しい力に刺激を受けながら、それすらも凌駕する作品を残してくれるだろう。期待せずにはいられない。
江口 寿史(えぐち ひさし)
1956年生まれ。熊本県出身。1977 年「週刊少年ジャンプ」にて『恐るべきこどもたち』で漫画家デビュー。『すすめ!!パイレーツ』『ストップ!!ひばりくん!』などのヒット作を生み、斬新なポップセンスと独自の絵柄で漫画界に多大な影響を与える。80 年代半ばからはイラストレーターとしても活躍。漫画連載当時のファンから、イラスト作品や CD ジャケット画で知った若い世代まで、幅広い支持を集める。近年は全国で積極的にイラスト展を開催するなど、幅広い分野で活躍を続けている。