自分もかすかべ防衛隊に入ってると思ってました
“サトーココノカドー”のモデルとされるスーパーは昨年11月に惜しまれつつ閉店してしまったが、高橋さんの日常の中に当然のようにあった存在が『しんちゃん』。「自分もかすかべ防衛隊に入ってると思ってましたから」と笑う。そんな中でも印象的なのシーンは? とうかがうと、意外な答えが。
「いろいろありますが、強いて言うならオープニングでしょうか。特殊な色合いと文字と“ゾ ”で終わるタイトル。自分が小さい頃見ていたあの感覚を思い出すんですよね」

そんな大人になった『しんちゃん』を演じることになって、考えたことは。
「事前にスタッフの皆さんとどう演じるのかたくさんお話もさせていただきました。
演じる上では、自分の中で持っているしんちゃんのイメージと、皆さんの持っているしんちゃんのイメージと、本当の野原しんのすけ、それを3で割るような存在になったらいいな、という感覚はありました。しんちゃんがどういう思いでこれまでを過ごしてきたか、というのは明言できないですし、誰の中にもないものだと思うので、そこを埋めるのが僕の仕事だなと思って演じました。しんちゃんがあれから時を経て、仕事にも就いて、自分なりのこだわりや思いも持って、でも、やっぱり自分の好きなものに対してまっすぐでいられるピュアさもあって…という、そんな一つ一つを大切にしたいなと思っていました」

(つづく)
高橋文哉(たかはし・ふみや)
2001年3月12日生まれ。2019年に放送された『仮面ライダーゼロワン』(テレビ朝日系)で主演を務め、20年公開の「劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME」で映画単独初主演を果たす。以後、多くのドラマ、映画に出演し、2023年公開の主演映画『交換ウソ日記』で第47回日本アカデミー賞新人賞を受賞。25年には馳星周の直木賞受賞作を映画化した『少年と犬』(3月20日公開)に西野七瀬とともにW主演し、NHK連続テレビ小説『あんぱん』への出演も発表されている。