2008年に洸平名義でメジャーデビューし、以降、舞台を中心にテレビや映画など多数の作品に出演。近年は、エッセイの執筆や番組のMCを務めるなど、多岐にわたって活躍している松下洸平さん(38)。昨年放送のドラマ「放課後カルテ」や、ミュージカル「ケイン&アベル」で主演を務め、待機作には26年の大河ドラマ「豊臣兄弟!」が控えるなど、ここ数年、主演から重要な役目といった大役を任されることが増えている。そんな松下さんにとって転機となった言葉や、自身が言葉を発するときに込めた思いなどを聞いた。【第1回/全4回】

松下洸平 撮影/有坂政晴

 2022年7月から25年1月にわたって、週刊誌「AERA」で掲載した対談集『松下洸平 じゅうにんといろPart.1/Part2』(朝日新聞出版)を3月17日に上梓した松下洸平さん。

「“いま”会いたい人」として選んだ全28組の方々との「対話」を通して、松下さん自身にどんな変化があったのだろうか。

 取材が行われたのは、本の発売を記念したイベントの直前。報道陣は冒頭のみ参加することができた。会場には、抽選で選ばれた約120名の方々が参加し、松下さんの登場を「今か今か」と待ち望む中、座席の後方からサプライズで登場! 会場からは「わぁっ!」という驚きと歓声、大きな拍手が沸き起こった。

――本日、『じゅうにんといろPart.1/Part2』が発売されましたが、手にした感想はいかがですか?

「この連載に登場してくださった28組の方々の言葉一つ一つが本の重みになって、それをこうして手に取って感じられることができてとても嬉しいです。

 今回は2冊同時に発売させていただくことになったので、この2冊分の重みが皆さんからいただいた言葉の重みだと思うと、感慨深いですね」

――対談相手は俳優さんだけでなく、獣医やフラワーアーティスト、中には初対面の方もいらっしゃいましたが、お相手の方はどのように決められたのでしょうか。

「ただ“僕が会いたい人”という理由で選ばせていただきました。例えば、獣医師の太田快作先生は、以前ドキュメント番組を拝見して“なんて素敵な方なんだろう。いつか会いたいな”と思っていたところにこの連載が始まったので、お名前を挙げさせていただきました。

 フラワーアーティストのニコライ・バーグマンさんは、ちょうど僕が『いちばんすきな花 』という花にまつわるドラマに出ていたので、“お花のスペシャリストの方にお会いしたいな”と思い、思い切ってお声かけしたら“いいよ!”と快諾してくださいました」

――2年半続いた連載も、北村一輝さんがゲストでいらした28回で最後となりましたが、もし次回があったら、どなたにオファーしてみたいですか?

「なかなかお会いする機会がない方でいうと、僕の演劇の恩師である演出家の栗山民也さんですね。栗山さんには20代の頃からずっとお世話になってきたので、この連載期間中も何度かお名前を挙げようとしたのですが“きっと無理だろうな”と思って、あえてお声かけしなかったんです。

 もしまた機会があれば、次は勇気を出して栗山さんに声をかけたいなと思います。あとは、ダメ元で、マライア・キャリーやブルーノ・マーズかなぁ。オファーするのは自由ですからね(笑)!」