限られた時間のなかで芝居と向き合う日々に「それも良いのかなと思います」
「演劇って楽しい」と感じる現場。日々、集中力も求められるという。
「栗山さんの解釈というのは、私なんかが思っている解釈では到底及ばないです。本当に先生みたいな人なので、めっちゃ緊張します。緊張はしますけど、稽古時間が短いので、どうしたって、その中でやらなきゃいけないから集中はしますよね。それも良いのかなと思います」
描かれる世界はイギリスのかつて栄えた炭鉱町。しかし、絡み合う一人ひとりの心情は、私たちに突き刺さる。
「栗山さんがおっしゃっていたのは、“日本人だと、AとBがケンカすると何も生まれない。でもこの戯曲だと、AとBがぶつかったら、そこでCが生まれるんだ”っていう、そういう世界であり、お話であり、人間関係なんです。家族が軸になって構成されていますけど、結局、人間と人間のぶつかり合いなんですね」

「だから見ている方には、他人の家族のことではあるんだけれども、出てくる人物は人間であって、愛の物語だと見ていただけるんじゃないかと思います。家族というものを通して人間を描いているから、それがすごく面白いし、誰が見ても必ず共感できる。残酷だな、でも美しいなっていう、そういう気持ちになっていただけると思うんです」
「残酷で美しい」。江口さんの淡々とした語り口の中にも、本作への熱い思いがこぼれ出ていた。
(つづく)
江口のりこ(えぐち・のりこ)
1980年4月28日生まれ、兵庫県出身。2000年劇団東京乾電池に入団。2002年に映画『金融破滅ニッポン 桃源郷の人々』でデビュー。2024年第75回芸術選奨文部科学大臣新人賞を演劇部門で受賞。主な作品に『SUPER RICH』(フジテレビ系)『鎌倉殿の13人』(NHK総合)『ソロ活女子のススメ』(テレ東)シリーズ、映画『お母さんが一緒』『愛に乱暴』『あまろっく』(すべて2024)など、多数作品に出演。現在は連続テレビ小説『あんぱん』(NHK)、『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』(TBS系)、『ソロ活女子のススメ5』へ出演中。
パルコ・プロデュース 2025『星の降る時』
作:ベス・スティール
翻訳:小田島則子
演出:栗山民也
出演:江口のりこ 那須凜 三浦透子 近藤公園 山崎大輝 八十田勇一/
西田ひらり 佐々木咲華 下井明日香/秋山菜津子 段田安則
公演スケジュール:
5月10日(土)~6月1日(日) 東京・PARCO劇場(渋谷PARCO 8F)
6月8日(日) 山形・やまぎん県民ホール
6月12日(木)~6月15日(日) 兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
6月21日(土)・6月22日(日) 福岡・キャナルシティ劇場
公式サイト:https://stage.parco.jp/program/tillthestarscomedown/
