他人の立場を思いやることが大切になる

『舞いあがれ!』の作中でも時代の変化が携帯電話や登場人物の服装などで描写されていたが、実際の世界でもデジタル面やSNSなど、日々大きな変化が起きている。そこで桑原さんに今後の日本はどうなっていくと思うか、という疑問を投げかけた。

「さまざまなことが複雑化してきて、大局的に見ることがますます難しくなっていくのではないかと思います。その結果一人一人の視野が、狭く深くなっていくのではないでしょうか。今以上に、他人の立場を思いやることが大切になるという気がします」

「他人の立場を思いやることが大切になる」と話してくれた桑原さん。『舞いあがれ!』をはじめとして、繊細な感情描写や人間関係の機敏が描かれている桑原さんの作品たちが生まれた理由を発見したように感じた。

■桑原亮子(くわはら・りょうこ)
 脚本家、歌人。京都府出身。2013年、『星と絵葉書』で第41回創作ラジオドラマ大賞で奨励賞受賞。その後、NHK-FMでラジオドラマの脚本を多数執筆。20年のNHK土曜ドラマ『心の傷を癒すということ』、よるドラ『彼女が成仏できない理由』などののち、NHK22年後期の連続テレビ小説『舞いあがれ!』の脚本をつとめた。著書に「トビウオが飛ぶとき 『舞いあがれ!』アンソロジー」(KADOKAWA)。