「そんな自分を見てると、もうそういうことじゃないかなって」飾らない言葉だからこそ響く

 でも、その姿勢こそ、一つひとつの作品に対してまっすぐに向き合うスタンスになっているのではないだろうか。

「やっぱりね、助けてくれる人がたくさんいます。現場にはそれぞれ監督がいるし、舞台だったら演出家の方がいるし、先輩、共演者の方もいる。一人でやってるわけじゃないから。芝居ってみんなで作っていくものでしょ。
 だからそれに乗っかればいいものができると思うし。自分一人でやってると思うと、しんどくなるだけだし、人の言うことも聞きたくなくなっちゃうし。だから、信じられる人は必ずいるよ、と思って向き合う……そんな感じですね」

江口のりこ 撮影/有坂政晴

 と、語って最後に。

「といっても、信じられない人もいますけどね(笑)。でも、見渡してみると、結局俳優の道を選んで、この仕事をしているから出会えた人たちばっかりだなって。仕事は楽しいし、しんどいって言いつつも、やっぱりやるわけじゃないですか。なんかそんな自分を見てると、もうそういうことじゃないかなって思います。そんな感じでやってます」

 肩ひじ張らないスタンスから語られる言葉はシンプルだが、その一つひとつの言葉から、芯にある強さも見える。唯一無二の存在感の根底にあるものが感じられた。

江口のりこ(えぐち・のりこ)1980年4月28日生まれ、兵庫県出身。2000年劇団東京乾電池に入団。2002年に映画『金融破滅ニッポン 桃源郷の人々』でデビュー。2024年第75回芸術選奨文部科学大臣新人賞を演劇部門で受賞。主な作品に『SUPER RICH』(フジテレビ系)『鎌倉殿の13人』(NHK総合)『ソロ活女子のススメ』(テレ東)シリーズ、映画『お母さんが一緒』『愛に乱暴』『あまろっく』(すべて2024)など、多数作品に出演。現在は連続テレビ小説『あんぱん』(NHK)、『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』(TBS系)、『ソロ活女子のススメ5』へ出演中。

パルコ・プロデュース 2025『星の降る時』

作:ベス・スティール
翻訳:小田島則子
演出:栗山民也
出演:江口のりこ 那須凜 三浦透子 近藤公園 山崎大輝 八十田勇一/
西田ひらり 佐々木咲華 下井明日香/秋山菜津子 段田安則

公演スケジュール:
5月10日(土)~6月1日(日)   東京・PARCO劇場(渋谷PARCO 8F)
6月8日(日)   山形・やまぎん県民ホール
6月12日(木)~6月15日(日)   兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
6月21日(土)・6月22日(日)   福岡・キャナルシティ劇場
公式サイト:https://stage.parco.jp/program/tillthestarscomedown/

パルコ・プロデュース 2025『星の降る時』