小林幸子が知っている、ステージ上で起きる“奇跡”

 ステージ上で歌う小林幸子と、客席の興奮が一体になったとき、未知の世界が広がる瞬間があるという。

「両方の気がスパークすると、そこに新たなものが生まれるんですよ、必ず。例えば、自分の音域はここまで、ってわかりすぎるほど知っているのに、出ないはずの音域の声が出るときがあるの。それは、生だからこそ起きる奇跡ですよね」

 だから、コンサートを大事にする。そのとき、そこにいる人たちで奇跡を起こすために。

「いまはAIの時代で、わたしの声さえ残っていたら100年後でも小林幸子の新曲が作れるけど、生で歌うということはどうやったってできないわけですよ。ですから、歌える間はみなさんの前で歌い続けたいですね」

 まさしく持続可能、サステナブルな小林幸子だが、落ち込んだり、心が折れそうになることはないのだろうか?

「もちろん、ありますよ。でも、自分の機嫌は、自分でとる!」