赤楚衛二演じる貴司のモデルと噂された歌人

 そして、『舞いあがれ!』放送当時より、歌人の萩原慎一郎氏による『歌集 滑走路』と、赤楚演じる貴司の人生や歌人としての生き方などを重ねる視聴者がいた。

 萩原氏は84年9月生まれ。中学受験を経て中高一貫校に入学するも、同級生から壮絶ないじめをうけ、その後も精神的な不調を抱えることになる。17歳のときに俵万智に触発されて短歌をつくりはじめ、大学卒業後は非正規雇用で働きながら歌人として活動していた。そして17年5月に『歌集 滑走路』(角川文化振興財団)の原稿を編集部に提出したのち、自死を選んだ。

 20年9月には文庫版が発売され、解説にピースの又吉直樹を迎えている。同年11月には水川あさみ主演で映画『滑走路』が公開されるなど、多数の読者に親しまれている。

『舞いあがれ!』では、貴司が高校卒業後に就職した企業で精神的に追い詰められていった。自身を「干からびた犬」と表現した詩の一節を、舞と、山下美月演じるもうひとりの幼なじみ・久留美に発見されて心配される場面もあった。貴司はその後仕事を辞め、又吉直樹が演じる詩人で古本屋の店主・八木巌の激励もあり、歌作りにはげんでいく。