AIアバターも登場する舞台に

 少し戸惑いつつも本作のテーマへのアプローチは楽しい作業だという。

「AIが描かれることで、いかにシェイクスピアが人間の本質的な塊か、ということを感じますね。シェイクスピアじゃなければさすがにAIという発想は出てこないんじゃないかな。ましてや、AIアバターで白石加代子さんが登場するというのはすごい(笑)。シェイクスピア→AI→アバター白石さん。筋は通ってるよね(笑)。

 シェイクスピアに根ざしたうえで、こんなに挑戦的なテーマ。一歩間違えたら糸の切れた凧みたいなものになってしまうかもしれない。賭けの部分はありますよね。でも、同時に誇らしく胸を張っている自分がいて、すごく真剣な勝負というか、面白い挑戦だなと思っています。しかも親子共演(彬良さんの次女・宮川安利さんが出演)なんですよ。娘の晴れ舞台でもあるけれど、でもそこでは、とてもじゃないけど『父親』ではいられない。今回は特に。この戦(いくさ)、私はどうなるかわからないけど“あとはよろしく頼む”という心境(笑)」

宮川彬良 撮影/三浦龍司