キスシーンも監督に委ねて自信をもって演じた

 オーディションを終え、電車内で原作マンガを読んでいたときだった。

「作中で紺野が僕と同じようなことを言っていたんです。それまで僕は“紺野はクールだし、普段の僕とイメージが違いすぎる。僕に紺野ができるのかな”と思っていましたが、“なんか、あるかも! 今回、紺野あるかも!”と思い始めたんです。それもあり、受かったときは超ハッピーでした」

ーーこういった大事なときにお墓参りへはよく行くんですか?

「年に何度かしか行かないんですけど、前日に父から電話が来て、なんだろうと思ったら“明日おじいちゃんの命日だからお墓参りに行っとけよ”とだけ言われて。“おお、わかった”と行ったんです。いつもならめんどうになるかもしれませんが、この日はそんなことをまったく思わなかったんです」

 撮影が始まると普段とはヘアスタイルを変え、原作の紺野に近づいた。相手役の宇佐さんに対しては「宇佐くん演じる早川に正面からっ向き合おう」とした。

「宇佐くんは現場でもずっと早川なんです。台本を読んでいる姿、監督に相談している姿、そういう姿を見ていると、紺野と同じように愛おしいなあと自然に思うようになってきたことをすごく覚えています。特に悩んでいる姿がワンちゃんみたいで愛おしかったです」

 原作ではふたりの思春期ならではの葛藤や関係性を繊細な機微とともに描かれているが、実写もファンの期待を裏切らなそうだ。

「川崎僚監督とカメラマンさんを始め現場スタッフのみなさんが、二人の世界をすごく美しく見えるように試行錯誤してくれて、“目線をもうちょっと上に向けて”とか、普段のお芝居ではあまりされない指示を受けたりしました。だからキスシーンも監督に委ねて、監督がOKと言ってくださるなら絶対に素敵な画になっていると自信をもって演じました」