小説家、藤岡陽子さんの信条は「努力はいつか必ず報われる」。昨年は『リラの花咲くけものみち』(光文社)で第45回吉川英治文学新人賞を受賞した。最新作『僕たちは我慢している』(COMPASS)を上梓した藤岡さんに、これまでの「THE CHANGE」を聞いた。【第1回/全3回】

藤岡陽子 撮影/有坂政晴

 新刊『僕たちは我慢している』(COMPASS)を上梓した藤岡陽子さん。優秀な中高一貫男子校の中学から野球部で一緒だった3人が高校に進学し、それぞれに事情を抱えながら大学受験に挑む物語だ。

 「COMPASS」は藤岡さんが2009年、38歳の時に『いつまでも白い羽根』でデビューした際の光文社の編集者、大久保雄策さんが定年退職後に設立した小説専門の出版社。『僕たちは我慢している』は設立第1弾の小説となる。

「大久保さんが、小説が売れない今の時代に小説専門の出版社をつくると聞いた時は、すごい挑戦だと驚きましたが、だからこそ自分もご一緒したいという気持ちで、今一番熱く書けるものを書きました」

 藤岡さんが小説家を志してから、デビューを果たすまでの道のりは波瀾万丈だった。