さんまさんとのコンビ役に緊張しまくり
『七人ぐらいの兵士』は戦争もので、漫才コンテストで優勝したら兵役を免除されて日本に帰れるってデマが流れ、みんな必死に漫才を練習するという話。で、さんまさんがコンビを組むのが僕。もう緊張しまくりですよ。しかも関西の笑いが分からないから、「何や、それ」と言われるだけで怒られてる気がしました。でも、僕がオドオドしてリアクションするとお客さんにはウケるし、さんまさんも面白がってくれる。日を追ってそのシーンは長くなりました。
その舞台が終わった2日後には、『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)に出ました。ビビリまくりましたが、さんまさんは「かまへん、かまへん」って、僕は座っているだけでいいと。さんまさんは開口一番、「すいません。見学者の方、出てってください」といじってくれました。
これを機にバラエティ番組にも起用されるようになり、映画やドラマの出演も増えました。
早いものでデビューして37年です。人のいいサラリーマンからサイコな犯罪者まで、いろんな役を演じてきました。公開中の映画『ゴッドマザー〜コシノアヤコの生涯〜』では天使の役です。大地真央さん演じるヒロインの死の間際に天国に行くか、地獄に行くかを見守る重要な役で、脚本を読んだときからドキドキしました。現場ではこれが映画初主演だという大地さんの映画に賭ける思いも伝わってきました。こういう緊張感はすごく大事ですね。
どんな役を演じるときも、これが最後の仕事、次はないかもしれないという気持ちでいます。そして、いい意味で見る人を裏切るような芝居をしていきたいですね。
温水洋一(ぬくみずよういち)
1964年6月19日生まれ。宮崎県都城市出身。88年より小劇場を中心に俳優活動をスタート。唯一無二の個性派俳優として幅広く活躍。2017年に舞台『管理人』で第52回紀伊國屋演劇賞・個人賞受賞。現在、舞台ケムリ研究室no.4『ベイジルタウンの女神』(25年5月6日~6月15日公演)に出演中。近年の主な出演作は、ドラマ『リラの花咲くけものみち』(25年)、映画『ウラギリ』(22年)。待機作に、Bunkamura PRODUCTION 2025『アリババ』『愛の乞食』(25年8月~10月公演)などがある。
『ゴッドマザー~コシノアヤコの生涯~』
日本のファッション界に革命をおこしたコシノアヤコの生涯が映画化される。コシノアヤコ
役は、元宝塚歌劇団トップスターの大地真央が初主演。娘たち“コシノ3姉妹”は、黒谷友香 鈴木砂羽 水上京香が熱演し、天使役の温水ほか、木村祐一 市川右團次などが脇を固める。監督・撮影・編集は『カメラを止めるな!』の曽根剛が務める。
5月23日より全国公開