俳優・タレント業のほかに、骨髄バンク支援や障害者アートなどのボランティア活動や誰も排除しない“まぜこぜの社会”を目指して一般社団法人「Get in touch」を立ち上げるなど多方面で精力的に活躍を続けている。そんな東さんの人生にとって大きな転機となった出来事「THE CHANGE」とは──。【第2回/全4回】 

東ちづる 撮影/有坂政晴

 俳優・タレント、そしてボランティア活動に積極的に取り組んでいる東ちづるさん。タレント業を始める前は大阪で会社員として働いていた。

「一部上場企業を5社ぐらい受けて全部受かったんです。当時はバブル時代でしたから、有給休暇が多くて、お給料が良くて、残業代も付いて……一番条件の良い大企業に就職しました。いま思うと、ほんまアホやったなって(笑)」

 配属されたのはクリエイト的な仕事であった広報部。

「男女雇用機会均等法がまだない時代でしたが、私が勤めていた部署はわりと男女平等だったんです。お茶くみ、コピー取りはしなくて良いと言われました。逆にするなって感じで、そんな時間があるなら企画を考えてプレゼンしろって。いま思うとすごく進んでいたんですよね」

 しかし、その会社を4年で退社する。

「会社を辞めて季節労働者になろうと思っていました。スキーのインストラクターになろうと思ったんです。雪が降ったら山に入ろうと思っていたんですが、冬になるまでのあいだウロウロしていたんです。ちょっと失業保険もあったので(笑)。その時、友人に誘われて、とあるオーディションを見に行ったら、そこでスカウトされました。派手だったんでしょうね、ステージに上げられて……、“こういう世界もあるんだ。面白いな”って思ったんです。ただこの時は、次の雪が降るまで暇だし……ぐらいの感じで、タレント業をこの先の生業にしていこうは思っていませんでした」