昨年還暦を迎えたベテランながら、変わらず“ぬっくん”の愛称で親しまれ続ける俳優、温水洋一。舞台や映像作品での独特の存在感はもとより、“ぬっくん”呼びの名づけ親でもある、明石家さんまとの共演に代表されるバラエティ番組での活躍からも世代を問わず愛されている。そんな温水さんのTHE CHANGEとは――。【第2回/全4回】

温水洋一 撮影/三浦龍司

世界的ファッションデザイナー、コシノ三姉妹の母であり、自身もデザイナーのコシノアヤコさんの人生を描いた映画『ゴッドマザー〜コシノアヤコの生涯〜』で、温水さんは、病院のベッドに寝ているアヤコさんの枕元に現れる“天使”を演じている。

――温水さんが天使と言われると、不思議な説得力があります。

「いやぁ、ありがたいです。どんな役でもやりますよ。今回は天使ですけど、言われれば悪魔だってやります」

――個性派ぞろいのコシノ一家ですが、温水さんも独自の個性を持たれた人気俳優です。アヤコさんは「向こう岸、見ているだけでは渡れない」という言葉を残していますが、温水さんは何かポリシーや好きな言葉はありますか?

「最近はあまり言ったりしてないけど、昔は“ケセラセラ、なるようになる”という言葉が好きでした。もともとこの仕事を始めたのも、流れるようにして始めて、だんだん演劇を好きになっていきました。“こうしたい”といったビジョンも特にはなくて、いろんな人との出会い、“運”によって道が開けて、続いてきました」