俳優としてはもちろん、エッセイや絵本の作家としても知られる室井滋。早稲田大学在学中に「自主映画の女王」として名を馳せ、1988年にスタートした小林聡美、もたいまさこ共演のドラマ『やっぱり猫が好き』で一躍、人気者になった。その後も映画『居酒屋ゆうれい』『のど自慢』『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜』、ドラマ『菊次郎とさき』『七人の秘書』と存在感を放ち続ける室井さんのTHE CHANGEとは――。【第2回/全3回】

最新出演作の『ぶぶ漬けどうどす』が公開中の室井さん。本作は、老舗扇子店を営む京都の義実家に東京からやってきたフリーライターの主人公・まどか(演・深川麻衣)が、「本音と建前」文化を甘く見ていたままに突き進みはじめたことで、事態が思わぬ方へと動いていく“京都味付け風”コメディだ。
主人公の義母で、老舗扇子店の女将・澁澤環を演じている室井さんは、取材日も和装姿。取り出した扇子には、猫好きで知られる室井さんらしく、猫のイラストが描かれていた。
「私のデザインなんです。うちの猫がモデル。今回撮影でお邪魔した扇子店に作っていただいたんですよ」
――この映画用に作ったんですか?
「いえ、もともとそちらの扇子店とは20年来のお付き合いなんです。お中元を注文したりしていて。この扇子も舞台のときのお礼用に、オリジナルで作ってもらったんです」