「もっと人間的な部分を出していきたい」渡米後に大きくチェンジした、歌うことへの思い
持ち前の高いスキルやテクニックに加えて、音楽への愛や豊かな表現力がパワーアップしたのだから、もう、鬼に金棒である。
「自分の歌を届けたい人たちの顔が鮮明に浮かぶようになり、歌う意味が変わったことで、私の歌の表現も変わりました。それまではテクニックを重視して、きれいに歌うことが重要だと思っていたけど、もっと人間的な部分を出していきたいと考えるようになったんです。ニューヨークでデモを作ったり、ミュージカルを見ていたときに、ただうまく歌うだけでは気持ちが伝わらないと分かったんです。心に響く歌を歌うには、勢いがあったりエモーションがすごく大事なんだなって。
帰国後は、パワフルになった私を見てもらいたいという気持ちでいっぱいでした。自分にとって後悔のない、いい音楽を作り続けていくことに迷いがなくなったし、あのときの気合いは半端じゃなかったですね(笑)。できることすべてを見せたいというくらいの勢いだったし、そのおかげで安室奈美恵さんとのコラボもかなえられたんです」

しなやかに変化し進化を続ける一方で、デビューから25年を経ても変わらないものがある。
「最高のプロデューサーの方たちと一緒に、妥協のない楽曲制作を続けてきたという自負があります。今回のベストアルバムを聴き返してみても、どの曲も色あせることがないし、心を揺さぶるものがあると感じますね。それはきっと世界中のだれが聴いても同じ。心が震えたり、自然と身体が動き出してしまうような音楽になっているはずです。これからも、自分にとって後悔がない、自分に恥じない音楽を作り続けたいです」