哀川翔さんとは特殊な関係です
主演の綾野剛とは『クローズZEROII』(09年)以来ですか。僕は俳優とは現場以外で交流しないんです。『日本黒社会 LEY LINES』(99年)主演の北村一輝も、『DEAD OR ALIVE』シリーズ他、多くの作品に出演してもらった故・大杉漣さんも、プライベートは知りません。どんなに昔から僕の映画に出ていた俳優だとしても、必要以上に仲良くならないんです。

唯一家に呼ばれてメシを食ったことがあるのが、哀川翔さん。これは特殊な関係です。
僕がVシネマを撮り始めた90年頃、哀川翔と竹内力はVシネマの帝王でした。すげえなと思いました。2人が出てくれればビデオが売れるんですよ。哀川翔が出てヤクザモノというだけで、2万本は売れちゃう。
だから考えたんです。哀川翔と竹内力を出したら4万本じゃん! 声かけてみようぜ! と。そんな流れで作ったのが、2人が主演した『DEAD OR ALIVE 犯罪者』(99年)です。その後シリーズ化して『逃亡者』(00年)『FINAL』(02年)と3作も撮りました。
初めて翔さんと一緒にやったのは『日本黒社会』。トルエンの売人で、トルエン入りのバキュームカーの下に仰向けになり、口にトルエンが注がれ続けて窒息死するという役を演じてもらいました。しかも、物語に何の影響も与えない無駄死になんです。そのシーンのスタンドインを助監督がやっているのを見た翔さんは「あれ、俺がやるんじゃないよな……?」と言いつつも、「いいよ、やるよ」とやってくれました。優しいですよね (笑) 。
三池崇史(みいけたかし)
1960年8月24日生まれ、大阪府出身。米国アカデミー会員。CAA所属。横浜放送映画専門学院(現・日本映画学校)で学び、91年にビデオ作品で監督デビュー。『新宿黒社会 チャイナ・マフィア戦争』(95)が初の劇場映画となる。『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』(2007)、『十三人の刺客』(10)でヴェネチア国際映画祭、『一命』(11)と『藁の楯』(13)でカンヌ国際映画祭と、それぞれコンペティション部門に選出され、海外でも高い評価を受けている。
『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』
20年前、日本で初めて教師による児童への虐めが認定された体罰事件。福田ますみのルポルタージュ『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』を映画化。
三池崇史が監督を務め、綾野剛、柴咲コウ、亀梨和也、木村文乃、光石研、北村一輝、小林薫ら豪華キャストで描く、日常の延長線にある極限状況。男は「殺人教師」か、それとも……。公式サイト: https://www.detchiagemovie.jp/
配給:東映
(c)2007 福田ますみ/新潮社(c)「でっちあげ」製作委員会
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