家族を持ったことで“THE CHANGE”した心境

──別の取材のときにも、ご家族ができて本当に変わったとお話しされていました。ご自身にとって予期せぬチェンジでしたか。

「なんかね、じわじわくるんですよ。“なんで僕の銀行口座の残高が減ってるんだろう。あ、学費か。塾のお金か”って」

──リアルですね(笑)。

「わりと“なんとかなるだろう”というのんびりとした考え方なんですけど、そんな僕でも“仕事、頑張らないと!”となりますね」

──さきほど、ビールを持ってきてもらったら“ありがとう”でしょ! とお話しされていました。あの場面は野島から妻に対してでしたが、北村さんが子育てで普段から意識していることはありますか?

「やはりあいさつですね。“ありがとう”“ごめんなさい”“おはようございます”“おつかれさま”。例えば、通学路の横断歩道で旗を持って立たれている方がいますよね。普段、子どもを幼稚園に連れて行く道すがら、必ず“ほら、あのおじさん、おばさんたち全員に声をかけなさい”と言っています。
 あの方たちが自分たちを見守ってくれているということは、あとから想像してくれればいいことで、いまはただ、毎朝あいさつするおじさん、おばさんとして習慣づければいいかなと」

──なるほど。

「あいさつすることで、相手の方にも少しでもやっていてよかったと思っていただけるかもしれませんし。そういったささいなことが、大事なんじゃないかなと思います」

北村有起哉 撮影/有坂政晴