「放っておくって、相当な覚悟のいることだと思う」北村から見た、父・北村和夫は
──北村さんのお父様の北村和夫さんも、文学座所属の名優として知られ、多くの映像作品にも出演しました。役者として話をぶつけあったことはありますか?
※北村和夫・・・1927~2007年。文学座の看板俳優として活躍した。映像作品への出演も数多い。主な作品に大河ドラマ『天と地と』など14作、連続テレビ小説『おしん』『ちゅらさん』、映画『黒い雨』など。
「ほとんどできなかったですね。どちらかというと、当時僕は、生意気とまではいわないですけど“オレはオレでやるわ”という感じでドライでしたし、父親も何も。ただ、胸の内では死ぬほど心配していたと思いますよ。放っておくって、相当な覚悟のいることだと思うんです。でも“うちの劇団来ないか”とか、“今度、一緒にテレビに出してやるよ”といったことは、発想もなかったと思います」

──今後の目標についても聞かせてください。昔から「朝ドラヒロインの父」をやりたかったそうですが、昨年後期の『おむすび』でかなえました。次にかなえたいのは?
「時代劇の主役をやりたいですね。具体的にいうと『必殺仕事人』の中村主水。僕はおじいちゃん子だったので、子どものころから一緒に時代劇を見ていました。だから時代劇が好きだし、中村主水の表と裏の顔に惹(ひ)かれます。
特に藤田まことさんが、本当に色気のある感じで演じられているのを見ていて、いいなと思っていました。顔ものっぺりとされているし(笑)、年齢的にもそろそろ“オレでもいけるんじゃないか?”と」
──『必殺仕事人』、いいですね。時代劇は去年『鬼平犯科帳』(『鬼平犯科帳 SEASON1 本所・桜屋敷』『鬼平犯科帳 血闘』)に出られたばかりですが。
「『鬼平犯科帳』は胸くそ悪い悪役でしたから(笑)。こちらも中村吉右衛門さんが亡くなったときには、どうなっちゃうんだろうと思ったんですけど、松本幸四郎さんがやることになったので、“よかったあ”と思っているところです。『必殺仕事人』もやりたいと未来像を描くのは自由なので、ぜひ中村主水をやりたいです」
時代劇も徐々に盛り上がりの機運を見せている。北村さんの主演に期待だ。
北村有起哉(きたむら・ゆきや)
1974年4月29日生まれ、東京都出身。98年に舞台『春のめざめ』と映画『カンゾー先生』で俳優デビュー。その後、数多くの映画やドラマ、舞台に出演。2016年の『太陽の蓋』で映画初主演、2021年の『ムショぼけ』で連続ドラマ初主演を果たす。近年の主な出演作に、NHK連続テレビ小説『エール』『おむすび』、ドラマ『完全無罪』(WOWWOW)『いつか、ヒーロー』(テレビ朝日系)、映画『ヤクザと家族 The Family』(2021)『前科者』(2022)『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』(2023)『キリエのうた』(2023)『誰よりもつよく抱きしめて』(2025)など。最新主演映画は内田英治監督作『逆火』。
『逆火』
2025年7月11日(金)よりテアトル新宿ほか全国順次公開
原案・監督:内田英治
脚本:まなべゆきこ
出演:北村有起哉、円井わん、岩崎う大(かもめんたる)、大山真絵子、中心愛/片岡礼子、岡谷瞳、辻凪子、小松遼太、金野美穂、島田桃依
配給:KADOKAWA
(C)2025「逆火」製作委員会
