2013年に『キングオブコント』王者となり、2015年に旗揚げした劇団では岸田國士戯曲賞の最終候補に2度ノミネート、さらに近年は若手芸人の賞レース『ABCお笑いグランプリ』や『UNDER5 AWARD』にて審査員を務める――芸人からもお笑い好きからもその異才にたしかな信頼を寄せられる、かもめんたる・岩崎う大。その半生は、いくたびもの挫折と巡り合いによって前に進んできた。初の自伝的エッセイ『かもめんたる岩崎う大のお笑いクロニクル 難しすぎる世界が僕を鬼才と呼ぶ』(扶桑社)を上梓した岩崎に、人生のTHE CHANGEを聞いた。【第4回/全5回】

岩崎う大 撮影/石田寛

『キングオブコント』(TBS系)チャンピオンであり、コント師として多くの芸人たちからリスペクトを集めるかもめんたるだが、近年は漫才も行うようになっている。

「きっかけは2020年に『お笑い二刀流道場』(テレビ朝日)という番組で、コント師が漫才をする企画で出演オファーをもらったことでした。漫才はコントと違って自分自身として舞台に立っていないといけないと思っていて、ずっと苦手意識があったんです。でもちょうどその頃、劇団かもめんたるの公演で、自分に似てるけど自分ではないキャラクターを演じていたんですよね。そこで“自分に似てる自分ではない別人を演じる漫才をやればいいんだ”って気付いた。あれは運命的なタイミングでしたね」

 結果、番組で披露した漫才は好評を得る。そして2021年には結成14年目で『M‐1グランプリ』に12年ぶりにエントリー。ラストイヤーとなる翌年は準決勝まで駒を進め、敗者復活戦に出場する。「かもめんたるといえばコント」というイメージを塗り替える躍進で、「漫才もイケる」と知らしめた。そして『M‐1』出場資格を失った2023年からは2年連続で『THE SECOND 〜漫才トーナメント〜』(フジテレビ系)に参加。さらに今年は漫才とコントの2ジャンルで争う新設の賞レース『ダブルインパクト』(日本テレビ系)にエントリーし、決勝進出を果たしている(6月20日現在)。

 10年以上前に『キングオブコント』優勝を目指して戦っていた時期と今とでは、賞レースに臨む心持ちは違うものか? と尋ねると「それはやっぱり、当時のほうが怖かったかな……」と思案顔で答える。