1970年に映画『高校生ブルース』で主演デビューし、『太陽にほえろ!』(日本テレビ系)では「シンコ」という警察官の役を演じ話題を集めた高橋惠子さん。様々なジャンルの作品に出演する彼女の「THE CHANGE」とはーー。【第1回/全2回】

私が大映に入ったのは、中学卒業直後の15歳のときです。まだ子供ですよね。けれど、気持ちはもう一人前の大人のつもりでした。親が撮影所についてくることも拒んでいたほどです。
『おさな妻』という作品でデビューすることが決まって、撮影まで3か月の準備期間がありました。芝居や日舞、華道、それから体操などの特訓をしていたんですけれど、ある日、撮影所の所長さんに呼ばれて。「これをやってもらいます」と、ドンと一冊の台本を出されたんです。それが『高校生ブルース』でした。
主演に決まっていた方が出演できなくなり、デビューを控えた私に白羽の矢が立ったんです。突然だったので、思わず、“はい”と答えてしまって。ところが、家に帰って台本をじっくり読んでみたら、“高校生が妊娠する”という衝撃的な内容だとわかります。誰にも言えないし、親にも相談できなくて、“どうしよう”と思い悩んだことを、よく覚えています。
でも、気持ちは大人ですからね。“はい”と答えた以上、後には引けません。“やるしかない”という気持ちで挑みました。
スカウトされて大映に入ったので、自分では“俳優になりたい”と思ったことはなかったんですよ。ただ、“普通はつまらないな”とは感じていました。将来の姿など、まったくイメージできていませんでしたが、“とにかく3年間、この仕事に懸けてみよう”、そう思い、勉強は通信教育で補うことにして、高校にも行きませんでした。