よく金も借りずに、なんとか持ちこたえたな
――脚本と監督以外に主演も編集も担当されていますが、一人で四役も務めた理由はありますか?
「この映画は、主人公の主観映像を中心に構成されているので、主役の出番はほぼ声のみ。これを他人に頼むのは気が引けるなと思い、自分で演じようと。
こうなると表現したいことを、言葉とエネルギーを尽くして他人に伝えるより、自分でやったほうが早いので、編集も担当することにしました」
――パワフルですね。
「予算のこととかも考えないといけないでしょう。スタッフや製作費との兼ね合いで、最初に書いた原稿から半分くらいは削りましたが、結果的に良かったです」
――撮影期間は、どれぐらいだったんですか。
「休み1日を入れて10日。実質9日です。最初は、こんな短い時間で撮れるわけないと思いましたが、ほとんど主人公の見た目なので一つのアングルですみますし、そのカットは私の中で決めて現場に入りますから、終わるのが予定より、めちゃくちゃ早い。スタッフの現場への入り時間もだんだん遅くなり、撮影は1週間でも大丈夫でした」
――映画を観た人に感じ取ってもらいたいものは、ありますか?
「何かに蓋をして逃げても、それは必ず追ってくるし、それでも逃げ続ければ、敵は知らぬ間に強力になっていく。だったら、早めに勇気を振り絞って、自分が怖いとか嫌だと思っている敵が何者かというのを直視して、その正体を突き止めたほうが早いんじゃないかな……って。そういうことを、この映画から、くみ取ってもらえたらと思いますよね」
――映画内で展開される人間物語に注目ですね! 石田さんは来年でデビュー50周年ですが、ご自身の芸能人生を振り返っての感想はありますか?
「よく金も借りずに、なんとか持ちこたえたなって感じですが(笑)。大したもんだと思いませんか」
――19歳のときには、『GORO』(小学館)で篠山紀信さんが撮影したヌードグラビアが掲載されました。
「恥ずかしかったですよ。人前で裸になるわけですから」