マルチな俳優にして、自身も熱烈にエンタメを愛してきた上白石萌歌。この夏には、小劇場の聖地・下北沢の本多劇場(東京都世田谷区)で新作舞台『震度3』に挑む。10歳から表舞台に立ち、創作の現場で苦楽を味わってきた上白石のTHE CHANGEとは──。【第3回/全4回】

「母親の後ろに隠れているくらい、すごく人見知りな子だったのですが、幼少期にミュージカルを習っていて、そこで年に一度くらい、舞台に立っていました。自分の殻を破って本当の気持ちを外に出せることが気持ちよくて“演じることってこんなに楽しいことなんだ”と思えた、最初の経験でした」
幼いころから、芝居は大好き。10代で舞台『赤毛のアン』(2016)や『魔女の宅急便』(2017)などに主演し、歌手デビューも果たした上白石。順調に見えた日々のなか、18歳で出演したドラマ『義母と娘のブルース』(TBS系)で大いに苦しんだ。綾瀬はるか演じる主人公・亜希子が再婚したことで彼女の義理の娘になる、宮本みゆきというキーマン的な役どころだった。
「それなりにいろいろな経験を重ねてきたと自分の中で思っていたんですが、この作品では本当に何も通用しなくて。毎日たくさん怒られて、“ダメダメだ”と思いながらお芝居をしていました。初めて壁にぶつかった作品です」