アイドルと俳優の“狭間”で起きた葛藤
このとき27歳。映画『ラブ☆コン』(2006)や、『ホームレス中学生』(2008)などでの活躍を経て、イメージとのギャップに悩んでいた20代でもあったという。
「まだこのころは、僕がそれ以前に出ていた学園ドラマやWaTのイメージが強くて、役者としても爽やかなイメージが強かったです。でも20代も後半になって30代が見えてきたとき“このままじゃダメだな”となって。好きで歌っていた楽曲と、自分の気持ちがリンクしなくなってきたんです」

──アイドル的なイメージが、重荷になってきたと。
「役者として、爽やかなだけではなくて、もっと幅のある役もやらなくてはと思う瞬間が増えてきました。周りからは順調にいっているように見えた分“これでいいのだろうか……”のような、漠然とした不安があったんだと思います。それが苦しくて、それまでの爽やかなイメージだけに縛られずに、芝居をしたくなっていました」
──『メリリー・ウィー・ロール・アロング』で演じた作詞家チャーリーは、メガネをかけたもじゃもじゃ頭の青年。20代から40代までを演じましたが、その葛藤が晴れるきっかけに?
「この作品でミュージカルに出合えたのも大きくて、ひとつのステップになりました。それからも役柄やライフスタイルが変わっていって、気持ちが整理されていったと思います」
『メリリー・ウィー・ロール・アロング』以後、小池は作風を問わず、多くのミュージカルに出演していく。私生活でも家庭に恵まれ、仕事観が変わっていった。

小池徹平(こいけ・てっぺい)
1986年1月5日生まれ、大阪府出身。2001年に第14代JUNONスーパーボーイ・グランプリ獲得。02年に『天体観測』(フジテレビ系)でドラマデビューし、同年にウエンツ瑛士との音楽ユニットWaTを結成。05年にメジャーデビューを果たし、08年まで4年連続でNHK紅白歌合戦に出場。舞台への出演は15年に『デスノート THE MUSICAL』にL役で出演。翌年16年にはミュージカル『1789-バスティーユの恋人たち-』『キンキー・ブーツ』で第42回菊田一夫演劇賞を受賞。ドラマへの出演は『ウォーターボーイズ2』(フジテレビ系)、『ごくせん』第2シリーズ(日テレ系)、『ドラゴン桜』シリーズ(TBS系)、『医龍-Team Medical Dragon-』シリーズ(フジテレビ系)など。現在放送中ドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』(TBS系)へも出演するなど、幅広く活躍を続けている。
■作品情報
ミュージカル『ある男』
<キャスト>
浦井健治 小池徹平 / 濱田めぐみ ソニン
上原理生 上川一哉 ・ 知念里奈 / 鹿賀丈史
碓井菜央 宮河愛一郎 ・ 青山瑠里 上條駿 工藤広夢 小島亜莉沙 咲良 俵和也 増山航平 安福毅 ・ 植山愛結* 大村真佑*
*スウィング
<スタッフ>
原作:平野啓一郎「ある男」(文春文庫/コルク)
音楽:ジェイソン・ハウランド
脚本・演出:瀬戸山美咲
歌詞:高橋知伽江
公式HP:https://horipro-stage.jp/stage/aman2025/