「俺は俺しかいないから自分を預ける気はない」若いときに放った言葉の真意
そのうえで見失ってはいけないものは、「心を揺り動かすものは何なんだ」、「好きなものなのか、嫌いなのか」、「やりたいのか、やりたくないのか」だという。
「20歳で夏木陽介さんの事務所に入ったんだけど、社長やマネージャーに、“俺は個人実業家で、事務所は企業。きっと俺の代わりはいくらでもいるでしょ。ただ俺は俺しかいないから自分を預ける気はない。自分のやりたいことをやる”って言ったんだよ。若造なのに、結構“こんな仕事嫌だ”とか言って。“おまえ、来い。ぶん殴ってでもやらせるぞ”って、よく言われてたね(笑)。
俺らの仕事って結局、評価は周りが決めることであって、“顔面凶器”とかいうフレーズだって周りが言い出したことで、自分の思い通りには動かない。だからこそ、周りに左右されない。俺は俺、何がしたいのか、どうしたいのかを見失わないというのは大事だし、俺のテーマ。それはずっと変わらないよな」
俳優活動、さらには映画監督。それぞれのアプローチには「俺は何がしたいか」が軸にある。昭和から令和の現在に至るまで、それは変わらずに貫かれている。
1962年6月19日生まれ、東京都出身。1983年にテレビドラマ『太陽にほえろ!』で俳優デビュー。翌年、ドラマ『スクール☆ウォーズ』で注目を集める。80年代から90年代にかけては『ビー・バップ・ハイスクール』シリーズで人気を博し、Vシネマ黎明期を代表する存在として圧倒的な存在感を示す。また、俳優業にとどまらず、監督・脚本・プロデューサーとしても活動。1995年には映画『SCORE』で監督デビューを果たし、以降も、俳優としてだけでなく、監督や脚本、企画・製作などさまざまな立場から作品制作に携わっている。強面のキャラクターとは裏腹に、近年はバラエティ番組や自身のYouTube『役者魂チャンネル』などを通じて、親しみやすい一面も注目されている。俳優歴40年を超えた現在も、映画・ドラマ・舞台などジャンルを問わず、幅広く活躍を続けている。
作品情報)
『波乱を愛す』
著者名:小沢仁志
刊行日:2025年7月30日(水)
税込定価:1,960円(本体1,800円+税)
発行:株式会社KADOKAWA