小沢仁志が目の当たりにした、名俳優の先輩たちの大きな背中

「プライベートでどこかに飲みに行くときも、いまの芸能人はマスクをかけてバレないように、という感じだけど、当時はもう“松方弘樹だ”、“梅宮辰夫だ”、“菅原文太だ”っていうのを全面に出して大っぴらに行くわけだから、カッコいいんだよ。芝居なんて長くやってればうまくなるし、テクニックは入ってくる。でも、奥行きというか、立ってるだけで生まれる存在感みたいなもの、演劇学校では教えようがないもの、あれはくぐった修羅場の数なんだろうな。あの先輩たち、本当にすごかったよ」

 そうした先輩たちに臆することなくぶつかっていくのが小沢仁志流。

「もう大体どんなときも、“小沢仁志といいます”“先輩に胸借りて、思いっ切りやりたいと思ってるんでよろしくお願いします”みたいな感じだよな。本にもあるけど、三田(佳子)さんなんか“よろしくね”なんて感じだったけど、本番ではグワーッと(笑)」