「いまの現場は“芸能界”って感じ」小沢仁志の目にはどう映っている?
本書に書かれた三田佳子さんや岡田茉莉子さんなど、名女優とのエピソードからも現場の緊張感が伝わってくる。
「男の先輩もすごいけど、女優の先輩のほうが、ある意味、肝が据わっててカッコいいよな。あの人たちがデビューしたときって、獣みたいな諸先輩の中に女性が入って生き抜いてきたわけだから。そりゃ、腹据わってるよ。基本みんな誤解してるけど、見た目はすごい美しいけど、現場は工事現場みたいなもんだから、女性でもタンクトップ着てツルハシ振ってるようなもんなんだよ。いわゆる肉体労働現場。
ビルが完成してテープカットのときにキレイな格好して登場するから、そこしか見てないと、“すげえ美しい女優さんですね”になるけど、俺らと同じ肉体の現場で生き抜いてる人たちだから。とんでもない強さなんだよ。いまはもう、現場にそういう肉体労働的な雰囲気はなくて、いつもテープカットの場面しかない、みたいになってるよな」

怒号が飛び、映画作りの人間と人間がぶつかり合う現場を知るだけに、最近の現場の空気には、違和感を持っているという。
「いまの現場は“芸能界”って感じだよな。俺が知ってるのは工事現場だから(笑)。キレイなところでさ、スタッフは腫れ物に触るみたいに芸能人に接して、昼食後からケータリングをどうぞ、みたいな世界。あれじゃ太るわ(笑)。ギラギラでいられない気がする」