PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しみ、壮絶な治療と向き合った渡邊渚さん。そんな彼女が笑顔を取り戻すまでの“奮闘”や、新たな“希望”、かなえたい“夢”など、これまでの、そして、これからの“人生の転機”、THE CHANGEについて、話をうかがった!【全5回/第1回】

撮影/川しまゆうこ

「個人的には写真集って“自己満足“だなと(笑)」

 アナウンサーとして活躍したフジテレビを退社後、新たな第一歩を踏み出した渡邊渚さん。PTSD(心的外傷後ストレス障害)の治療と向き合いながら、前向きに生きることを選んだ彼女は、フォトエッセイ『透明を満たす』(講談社)に続いて、6月25日に写真集『水平線』(集英社)を発売。発売日の翌日、アマゾンの「タレント写真集」部門で1位を記録した写真集のことを含め、最近の状況についてうかがうと、言葉を選びながら、しっかりと目を見て答えてくれた。

──フジテレビを退社されて個人事務所を設立し、新たなキャリアをスタートされました。フォトエッセイに続いて、写真集『水平線』を発売されましたが、どうして、このタイミングだったのでしょうか?

「写真集に関しては、昨年から出版社の方から“何か一緒にできたらいいね”というお話をいただいていたんですね。フォトエッセイの出版もありましたので、そのバランスを見て、このタイミングになったという感じです。特に“今だから”という強いこだわりがあったわけではなくて、自然な流れで発売のタイミングは決まっていきました」

──個人事務所の設立など“新たな門出”のタイミングで、ご自身の“新たな一面”を見せるという意味合いもあったのでしょうか?

「うーん、個人的には写真集って“自己満足“だなと思っているんです(笑)」

──自己満足、ですか?

「ええ。新しい自分を見せたい、というよりは“今の自分を残したい”という気持ちのほうが強かったんです。“今のありのままの自分”を切り取っていただけるということだったので、ぜひやりたいな、と。企画の段階では、私は出版に関して知らないことばかりの未知の領域だったので、基本的にはプロのスタッフの皆さんを信頼してお任せしました。皆さんが“いい”と思う形を目指したほうが、きっと作品としても良くなるだろうな、と」

──なるほど。といっても、ご自身の「今」を表現するうえで、譲れない部分もあったのではないでしょうか。撮影は、南国のタイで行われたそうですね。

「はい。実際に撮影に入ってみると、すごく勉強になることばかりでした。撮影に慣れていない時期だったので、最初は“どうやって笑顔を作ろう”みたいな初歩的なところから始めたんです(笑)。スタッフの皆さんは、以前からおつきあいのある方たちだったので、とても和やかな雰囲気の中、撮影することができました。

 本当に、合宿のようでしたね。 毎晩、その日に撮った写真を、スタッフみんなで確認して“この表情がいいね”“このメイクが合ってるね”などと話し合いながら、毎日毎日ブラッシュアップしていく感じでした。そのおかげで、撮影の最終日には、初日とは全然、違う表情が作れるようになっていましたし、今こうして取材で写真を撮っていただくことにも、あまり緊張しなくなったんです(笑)。本当にいい経験になりました」

──写真集の撮影で、渡邊さんの自然な表情を引き出すきっかけとなった一つに、リスペクトされている俳優さんの存在もあったと聞いております。