小説とドラマは別物だが根底にあるものは同じ
そんな真栄田への敵対心をあらわにするのが、彼の同級生であり同じ特別対策班に配属された与那覇。直情的な叩き上げ刑事を、青木崇高さんが熱演している。
「ドラマでは、僕がさらっと書いたシーンをディティールまで掘っていただきました。中でも、与那覇がチンピラを捜査するシーンはもっとも気に入っています。半世紀前だからできたような荒々しい捜査が、本当に怖くて。よく大阪府警が暴力団事務所に突入する映像がネットに流れていますが、青木さんが大阪マル暴かという凄まじい迫力でした(笑)」

プロデューサーをはじめとするドラマ制作チームとも話し合いを重ね、坂上さんにとっても納得のいく映像に仕上がった。
「“原作のこういうところを大事にしてほしい”とお伝えし、制作サイドとギリギリまでやりとりしました。特にクライマックスシーンに関しては議論を重ね、双方納得したうえで制作したつもりです。当然ながら、活字と映像では表現できること、その限界が大きく違います。そのため、小説とドラマはスタートとゴールは一緒ですが、途中の展開が異なるところも。根底にあるものは同じですが、別物として両方楽しんでいただけると思います」
(つづく)
坂上泉(さかがみ・いずみ)
1990年、兵庫県生まれ。東京大学文学部日本史学研究室で近代史を専攻。卒業後、一般企業に勤務するかたわら2019年「明治大阪へぼ侍 西南戦役遊撃壮兵実記」で第26回松本清張賞を受賞。同作を改題した『へぼ侍』(文藝春秋)でデビュー。2作目となる『インビジブル』は第164回直木三十五賞候補に。同作は、第23回大藪春彦賞、第74回日本推理作家協会賞【長編および連作短編集部門】を受賞した。
(作品紹介)
連続ドラマW 1972 渚の螢火
10/19(日)放送・配信
毎週日曜午後10:00
※第1話無料放送(全5話)
出演:高橋一生
青木崇高 城田優
清島千楓 嘉島陸 佐久本宝 広田亮平 MAAKII 北香那 Jeffray Rowe 藤木志ぃさー ベンガル
沢村一樹 小林薫
原作:坂上泉『渚の螢火』(双葉文庫刊)
監督:平山秀幸 脚本:常盤司郎 倉田健次 音楽:安川午朗
制作プロダクション:東北新社 製作著作:WOWOW
公式サイト: https://www.wowow.co.jp/drama/original/1972nagisanokeika/