ウイカ「SNSがなかったら、そもそも何も知らずにいたことを、SNSがあるために知ってしまう」
“みんなと仲良しです。でも一番仲良しみたいな、二人組作ってくださいとか、班を作ってくださいっていうときに属すところはない”タイプで、常に廊下でリコーダーを吹いて歩いているみたいな、謎のアイデンティティを主張する人だったんですね」
うらじ「かっこいい」
ウイカ「(女子学生らしい話し方で)“ウイカはそうだよね~”って感じで、みんなから近くも遠くもない距離感で、どのグループにも属さないというスタンスを取っていたんですけど、ネットがなかったときって、誰がどこで遊ぼうか、自分が遊んだらその事実は知ってるし、遊ばなかったら知らないですよね」
「そうじゃないですか」と、ウイカさんは記者に同意を求め、話す。
ウイカ「仲良しチームで、遊びに行ったよって投稿があったとすれば、“行ったみんなと、行かなかった私”っていう、勝手にどんどん線が引かれていく。ブランドバッグ買いましたみたいな投稿があるとすると、“金を持っているあいつと金を持たない私”みたいなふうに見えてきて。
別にSNSやらなきゃいいんですよ。“見なきゃいいじゃん”ってなるかもしれないけど、SNSをやっている人とやらない人で世界にどんどん線が引かれて。SNSがなかったら、そもそも何も知らずにいたことを、SNSがあるために知ってしまうみたいな状況があって。
別に世捨て人になって、全ての情報をシャットアウトすれば苦悩から解放されるかもしれないけど、それは“知ろうとしない”ということになるのかな。
それはこの生き方においてはちょっと選択できないから、“ああなるほどある種、行かずとも知れるっていう便利さと引き換えに生きづらさを同時になすりつけられているんだな”っていうのが思いますね。