不安と期待が半分ずつです

 それでも、目まぐるしく進んでいく現場の中で、心が完全に追いつくまでには少し時間がかかった。新曲の振り入れやMV撮影が進むたびに、杉浦さんは何度も「本当に自分で大丈夫だろうか」と自問しながらも、次第にその役割を引き受ける意識が強まっていった。

「MV撮影が進むにつれて、表情や動きを指示されるたびに“この楽曲を私が届けていくんだ”という責任感がようやく生まれてきました。最初はプレッシャーで押しつぶされそうな気持ちでしたけど、回数を重ねるうちに、だんだんと“自分なりにやってみよう”という前向きさも出てきて今では不安と期待が半分ずつです」

 これまで全体ライブや雲組でも何度もステージの真ん中を経験してきた杉浦さん。しかし、“青空組”で楽曲の顔になることは、これまでとはまったく違う重圧だった。ライブでセンターに立つ時には、まるでスポットライトの熱が全ての不安をかき消すかのように、「今、この瞬間」に集中できた。けれど、今作は“自分ひとりが前に立つ”だけではない。新しい役割を引き受けた瞬間から、「グループ全体をどうまとめていくか」「青空組として何を見せるか」という、これまでより大きな視野と責任が求められた。

「大きく違うなと思ったのは、自分が一番に見られているということですね。青空組の中心に立つということは、ただ歌ったり踊ったりするだけじゃなくて、他のメンバーがどう見えているか、どう動いているか、空気感まで全部背負う感覚があります。正直、楽曲の顔としてグループ全体を引っ張っていくっていうのは、思った以上に重い責任だなと実感しています。ライブでセンターに立たせてもらった時は、その瞬間瞬間に集中していれば良かったんですけど、今回は常に“この場を自分がどうまとめるのか”を意識しなきゃいけない。毎日、目に見えないプレッシャーとずっと向き合っていた気がします」