「“面白くない”って言われるのがたまらなくて」

 ピン芸人として立て直しをしていく方正さん。そのとき、目の前にいた大きな存在がダウンタウン。

「ダウンタウンさんとは、あまりに実力が乖離してますからね。NSCは草野球で、草野球やってた人間が突然プロ野球に入って、しかもメジャーリーグ級みたいな方がいて、という感じですから。そこから苦しみました」

 ピンでの活動を続ける中で、戸惑いは大きくなったという。

「“アホ”、“ヘタレ”はいいんですよ。ただ、“面白くない”って言われるのがたまらなくて。そこはやっぱり、20歳そこそこで賞を獲ったり、順風満帆で来てる、まだ子どもですよね。勉強もそんなしてないから、成長もできてない。でも“面白くない”は受け入れられないという状態でした。

 今でこそ“スベリ芸”って確立されてて、一つの番組の中でもマストみたいなところあるじゃないですか。でも当時の番組の中では“ただの駄目なやつ”やったんで、収録終わり、いつも泣いて帰ってました。だから本当につらくて、やめようと思ったんですよ。全国放送でこんなにバカにされて、なんやねんこれ、みたいな。でも、このままやめたら、ほんまにあいつおもろなかったから辞めさせられたって世間が思うやろうな。それはつまらんなと思って続けてましたね」

月亭方正 撮影/三浦龍司