「キレて、いい返して、それでもあかんかったら、もう辞めようと思ったんですよ」
そんな方正さんに芸人としての変化が生まれた時期とは。
「半年ぐらいしてからかな。そこでやっと、“受け入れよう!”と思えたんです。何もかも飲み込んだろ、と。1回飲み込んでその代わり言い返したろ、っていう感じですよね。キレて、いい返して、それでもあかんかったら、もう辞めようと思ったんですよ。そうしたらそこから半年後にレギュラーが8本になって。一気に変わっていきました」
一つ、「山崎邦正」としてのスタイルを確立するきっかけとなった番組があったという。
「ムツゴロウ(畑正憲)さんの番組があったじゃないですか(フジテレビで1980年から2001年まで放送された『ムツゴロウのゆかいな仲間たち』)。あれで、犬のボスの交代の話をやってたんですよ。セントバーナードがボスやったかな。次のボス誰なんだ?みたいなドキュメント。
その中で1匹のパグがいたんですね。そのボスと一緒に。みんなで喧嘩するんですよ。いろんな犬がいる中で、その喧嘩にパグも参加するんですよ。ぐわーっとパグも行くんですけど、後ろ足でポ~ンと一蹴されるんです。画面からふわ~っと消えて、でもすぐにまたパグが画面に出てきて、また一蹴される。これや!と思いましたね(笑)。俺、パグや、って。目の前にいるデッカいものに噛み付くんや。ほんで一蹴されても、また噛みつくんや。もうこれやこれって(笑)」
偶然目にした動物番組をヒントにテレビでの生き方、スタイルを確立させていく方正さん。それでも、芸人・山崎邦正にとっての次の転換点が迫っていた。
(つづく)
つきてい・ほうせい
1968年2月15日生、兵庫県西宮市出身。山崎邦正名義で1988年にGSX(ガスペケ)というコンビを結成しデビュー。その後、相方の芸能界引退を機にピン芸人として活動、テレビ番組『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』などに出演。2008年5月に月亭八方より「月亭方正」と名乗ることを許され高座に上がる。2012年より噺家としての活動に専念するため関西に拠点を移した。
(公演情報)
《東京》月亭方正落語会 月一方正噺
日時:2025年8月22日 (金)
開演:21:15
会場:新宿末廣亭
ゲスト: NON STYLE
《東京》月亭方正落語会 月一方正噺
日時:2025年9月12日 (金)
開演:21:15
会場:新宿末廣亭
ゲスト:ちょんまげラーメン