幸せになるコツは“ちっちゃな幸せを毎日積み重ねていく”こと
ポップミュージックは、時代を映す鏡であり、シンガーソングライターは、時代の空気を自分というフィルターを通して形にする媒体のような存在だ。矢井田さんはキャリアを重ねるほど感度がどんどん高まり、社会の片隅で傷ついたり、生きづらさを感じる人たちの声を敏感に受け止めるように進化してきたのではないかと感じた。

そんな彼女自身、決して要領よく、タイパよく生きてきたわけではないだろう。むしろある種の不器用さを手放さずにきたから、自分らしさを見失わず、納得して前に進んでこられた。そんな矢井田さんから、毎日がちょっと上向くヒントを授けてもらった。
「おススメしたいのは、“幸せの沸点を下げること”です。理想通りの自分になれたらすごくハッピーですが、それをかなえるためには、時間やお金がとてもかかるかもしれませんよね。またかなえようとして頑張ると、それができなかったときに自分を嫌になったり落ち込むことだってあるかもしれません。
だから、私は幸せの沸点を下げることを大事にしてるんです。例えば、“今日は天気がいいな”とか、“ランチに好きなものを食べられた”とか、そうしたちっちゃな幸せを毎日積み重ねていくんです。取るに足らないことかもしれないけど、幸せだなって感じると、そのたびに身体はちゃんと喜ぶんですよ。そうすると自然に笑顔も増えるし、すごくおススメです」