「自分は何事も実際に触れたり体験しないと分からない」真っすぐな人柄だらかこそ、ファンの胸に届くものがたしかにある
新里さんは、HYでメインボーカルを務め、ライブを盛り上げる役割も担うが、普段の彼は物静かな印象だ。そんな穏やかな人が、ライブで観客をひきつけてエネルギーを爆発させるには、信じがたいほどのパワーや集中力が求められるに違いない。
新里さん「あと、“何か変えようと思っても、俺の性格ってもうきっとこのままなんだろうな”と思えたことも逆に安心材料になりました。“もうこれでいいわ、自分は”って思えたんです。理想としては、自分たちでレーベルを立ち上げた29歳、30歳くらいで自信を持ってステージに立てていたら……と思うけど、自分は何事も実際に触れたり体験しないと分からないんですよね」
「理解するまでに時間がかかるんです。最近になってやっと自信が持てるようになってきたけど、みんなは本当にすごくて、“すごいな、こんなに前向いて自信持ってやってるな”とずっと思っていたし、いつもうらやましいなと感じていましたね。いつも先にみんながアイディアを出したり、考えてくれるので、僕はいつもそれを思い返して考え直すんです。それで、次の日になって“ああ、そうか”って腑(ふ)に落ちる感じ。
自分の考えがまとまったとき、みんなはもう先に進んでることも多いんだけど、じっくり立ち止まりながら考えられることもいいことかなと思えるようになりました。その気付きがあってから、自分への自信につながっていったんです」
まるで、論語の「三十にして立つ」、そして「四十にして惑わず」を地で行くHYのメンバーたち。極上のエンジンがあり、アクセルをぐっと踏む人、ブレーキを利かせる人もいる。この奇跡のバランスが、HYの真の強さなのかもしれない。次回は、仲宗根泉さんの“THE CHANGE”に迫る予定だ。
(つづく)
HY(エイチワイ)
2000年に結成。メンバーは、新里英之(Vo&G)、名嘉俊(Dr)、許田信介(B)、仲宗根泉(Key&Vo)。全員が1983年生まれ、沖縄県うるま市出身。
2003年、2ndアルバム『Street Story』がインディーズとして史上初のオリコンチャート初登場&4週連続1位に輝いた。2010年、NHK紅白歌合戦に初出場し、2012年には『いちばん近くに』がNHK連続テレビ小説『純と愛』の主題歌に抜てきされるなど、国民的バンドとしての地位を固めた。2025年1月、25周年を記念した16枚目のアルバム『TIME』をリリース。本作には、彼らの大ヒット曲『366日』をもとにつくられた同名映画の主題歌『恋をして』や、アニメ『沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる』オープニング主題歌『大大大好き』などが収録されている。次の30周年に向けて2026年2月23日東京ガーデンシアターにて一夜限りのSpecial公演が決定!!