以前は凶器にも感じたツールが、いまはファンとつながる大切な場所に

 それでも、ときには自身に対するネガティブな書き込みを目にしてしまうこともある。

「読むことはありますが、スルーできるようになりました。世の中の人全員に好かれるなんてことはあり得ないし、わたしのことを嫌う人も、それを言葉にして吐き出す人もいる。でも、そういう人たちが、わたしを救ってくれる可能性は限りなくゼロです。だったら、わたしが傷つく必要はまったくないと、思えるようになりました」

兒玉遥 撮影/有坂政晴

 そんなふうに気持ちをチェンジできたのは、まわりにいてくれる温かい人たちの存在に改めて気づけたから。

「うつ病が治ったとき、これからはわたしのことを思ってくれている人を大切にして生きていこうと思いました」

“不死蝶”のように、美しい羽を大きく広げて、兒玉遥は芸能界という空を舞い続けるに違いない。

こだま・はるか
1996年9月19日生まれ。福岡県出身。2011年7月10日、HKT48の第1期生オーディションに合格し、メンバーとして活動開始。センターポジションも務め、16年には第8回AKB48選抜総選挙で、自身最高となる第9位に。2019年6月にHKT48を卒業し、現在は俳優として活動しており、主な出演作は、映画『空のない世界から』(22)、『僕らはみーんな生きている』(22)、『渚に咲く花』(22)、『岡本万太』(25)、連続テレビ小説『おむすび』(NHK)、舞台『フラガール』(22)、『夜曲〜ノクターン〜』(23)など。
公式サイト:https://kodama-haruka.com

『1割の不死蝶 うつを卒業した元アイドルの730日』
2025年9月19日発売
発行:KADOKAWA
定価:1,760円(本体1,600円+税)