人気アイドルからデスメタル、萌え系まで、どんな楽曲も歌いこなす山下絵理さん。“仮歌の女王”の異名を持ち、数えきれないほどのアーティストたちをガイドボーカルで支えてきた。
約25年間、黒子に徹してきた彼女が、「作曲家・三木たかし生誕80周年記念プロジェクト」の歌手として大抜てきされ、三木たかし氏の秘蔵曲で今夏デビューした。ドラマチックな半生をたどってきた山下さんの“THE CHANGE”を語ってもらった。【第4回/全5回】

「仮歌の女王」としてアイドルからロックバンド、萌え系まで幅広く歌いこなし、音楽界で絶大な信頼を得てきた山下絵理さん。今夏、三木たかし先生の未発表曲でデビューするなど、今後の活躍がますます期待されている。
もともとソウルミュージックが好きで洋楽フリークだった山下さんが、昭和から平成にかけて、数々の名曲を世に贈り出した三木氏の楽曲を復活させるプロジェクトを担う重責を、どう受け止めているのかをストレートに聞いてみた。
「いまは、『作曲家・三木たかし生誕80周年記念プロジェクト』の新人歌手として、全力を注ぎたいという一心ですね。また、三木先生が昭和から平成に残し、まだこの世に知られていない貴重なメロディーに宿した遺伝子を汲(く)み取り、令和の女性としてハイブリッドな歌を歌うことが私の使命だと思っています。
三木メロディーの受信機のような役割になり、三木先生が曲に込めた思いを通訳するというか。ただの懐メロに終わらせるのではなく、懐かしいけれど新しさを取り入れた三木たかし節を、いまの時代に一番ふさわしい形で伝えるお手伝いができればうれしいですね。三木先生の特徴でもある、情緒があって余白のある、日本人だから出せる歌……、古き良き日本人を思わせる世界観を、自分なりに解釈して歌っていきたいです」