作曲家・三木たかし生誕80周年を記念したプロジェクトの第一弾として、『水の都』を引っさげデビュー

 「作曲家・三木たかし生誕80周年記念プロジェクト」では、第一弾として『水の都』『五月雨帰郷』がすでにリリースされている。歌詞を手がけるのは、DA PUMPの大ヒット作品『U.S.A.』の日本語詞や、日本レコード大賞金賞を受賞したw-indsの楽曲などで知られるshungo.氏。また、プロデューサーの平哲夫氏は荻野目洋子さんやSPEED、MAXなどを世に送り出した辣腕(らつわん)だ。

 豪華な面々がそろうプロジェクトだけに、デビュー前から取材オファーが相次ぐなど、話題となっている。人見知りで引っ込み思案な山下さんは、さぞ緊張しているかと思いきや、意外にも落ち着いた様子だ。

「これまでにお話ししたように、私はずっと大切にしてきた“確かなきらめき”を求めて歌ってきましたし、私が大切にしているのはそこだけなんです。25年、仮歌のお仕事を続けてきたなかには、怒号が飛び交うような現場や、ピリピリした緊張感のただよう場所もありました。小心者の私は、内心びくびくしながらも一生懸命歌ったんですよ(笑)。そんな私が疲れて帰ってくるのを見ると、自分がエレクトーン奏者として苦労した母からは、“趣味を仕事にすると逃げ場がなくなる”と心配されてもいましたね」

山下絵理 撮影/松島豊

「でも、私はどんなに“ああ、今日は心が疲れたな”と思っても、歌がいやになったことは一度もなくて。仕事でつらいことがあったとしても、結局は好きな音楽で解消してきたんです。“貧乏でもいいからこの仕事に携わりたい”という、18歳のときの気持ちは、全然変わらないんです」