彼女の歌声を聴いたスタッフが感涙した

 印象深いのは、250万枚売り上げた4thシングル「DEPARTURES」をロスでレコーディングした時。ザ・レコード・プラントというスタジオで行ったんですが、ジミヘンやジョンレノン、エアロスミスも使っていたメチャすごいところなんですが、この時、KEIKOの声が出なくなっちゃったんです。みんなが慌てる中、僕はずっとKEIKOのそばにいました。「それでもKEIKOが歌えば、素晴らしい歌になるよ。ちょっと目をつぶって鳥のさえずりみたいに楽に歌ってごらん」とアドバイスをして、レコーディングに臨むことができたんですが、彼女の歌声を聴いたスタッフが、「これはヤバイ!」って感涙してる姿を思い出します。この歌は「JR SKI SKI」のCMソングで、15秒だけのレコーディングだったんですけどね。

 globeは全盛期の頃、スタッフも150人くらいいたのに、家族的な雰囲気で、みんなの波長もピッタリ合っていました。だけど、だんだんそのムードが崩れていって。制作スタッフからしたらやっぱりTKが一番じゃないですか。でも、僕の中では常に、KEIKOを一番大事にしながら……という感じでしたね。

 TKは、僕にとって“先生”のような存在ですね。ある時、自動車で移動中に横断歩道を渡っている女性を見て「あの子が渡り切るまで、ちょっとプロデュースしてみて」ってボソッて。「なに言ってるんだろう、この人?」って思ったけど(笑) 、それに答えると「面白いけど、こういうプロデュースの仕方もあるんじゃない?」って。こういう、スピーディーな発想力がすごかったし、面白かったですね。

(つづく)

マーク・パンサー(まーく・ぱんさー)
1970年2月17日、フランス生まれ。幼少期からモデル活動を始め、12歳で映画『さよならジュピター』で映画デビュー。その後、メンズノンノ専属モデルやMTVジャパン初代VJを務め、1995年からは音楽グループ「globe」のメンバーとして活動。250万枚売上の大ヒットシングル「DEPARTURES」を含む数々のメガヒットを生み出し、全シングル・アルバムの累計売上は1700万枚以上。以降の音楽活動では、2010年からはDJ活動やソロプロジェクトも展開。 京都造形芸術大学(2016年~)と大阪芸術大学(2019年~)の客員教授を歴任。2022年には自身のファッションブランド「BN20F(ベネバン) 」を設立。

ドラマ『御社の乱れ正します!2』
「オフィスAIRクリーニング」の三枝玲(山崎紘菜)はアルバイトの新(飯島寛騎)、「BarPURPLE ROSE」のマスター(パンサー)らと身勝手な社内不倫により周囲に迷惑を掛ける男女を成敗する!
木曜ドラマ23『御社の乱れ正します! 2』は10月2日(木)より毎週木曜日よる11時よりBS-TBSにて放映
(c)樹ユウマ・DPNブックス/「御社の乱れ正します!2」製作委員会