37歳での新たな挑戦「根底に藤村俊二さんの言葉があるから続けてこられたんです」

 そんな小田井さんにTHE CHANGEについて聞くと、28歳から30歳まで、まだ何者でもなかったこの時期にあったことを明かしてくれた。

「CHANGEという言葉で思い浮かぶことといえば、芸能界に入ってからの価値観の変化というか……。純烈の話をするときによく言われるのが、売れない時代が長かったし、“よく辞めずに続けてこられましたね”みたいなこととか。純烈を始めたのは37歳だから“そんな年齢から新しい挑戦ってすごいね”みたいなことなんですよね。僕は楽観的にやっていたというのもあるんですが、根底に藤村俊二さんの言葉があるから続けてこられたんです」

 藤村俊二さん、通称・おひょいさん。ドラマや映画のみならずバラエティ番組でも活躍し、シリアスからコメディまで演じ、スタイリッシュな存在感ととぼけたキャラクターというギャップで幅広く愛された俳優だ。2017年1月に82歳で死去する約1年半前まで『ぶらり途中下車の旅』(日本テレビ系)のナレーションを続けていた。

「上京した直後、ある方にご紹介いただいて、藤村さんのところで2日間だけ付き人みたいなことをしていたんですよ。藤村さんは当時、三谷幸喜さんの舞台『ラヂオの時間』(93年)とかに出ていた一番忙しい時期で、送り迎えや藤村さんがやっていたバーのお手伝いをしたり、いろんなお話をさせていただいたんです。そのときに藤村さんが言った言葉が、THE CHANGEなんですよね」

「男は40歳まで好き勝手やっていい。現実的なことは考えなくていい」

「そんなことを言ってくれました。“お金を貯めたり、地に足をつけて仕事をするとか、40歳すぎてからやりなさい”と。それがずっと頭に残っていたから、37歳で純烈を結成するときに“40歳まであと3年あるからええか”という感覚で始められたんです。37歳で挑戦できたのは、藤村さんの言葉があったからです」