『さんま御殿』での再会「絶対に怒られるやろうな。それか覚えてへんかな”と」

 小田井さんは結局、正式な付き人にはならなかった。すでに3人の付き人の先輩がおり、「自分がデビューするまで、めっちゃ時間がかかるんちゃうか、と思っちゃって。もともと芸能界に入ったのも“友達がほしい”という不純な動機やし、そこまでの覚悟を持てへんな」と、身を引いた。

「『仮面ライダー』が決まったあと、『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)にゲストで呼ばれると、共演者に藤村さんの名前もあって。あのとき以来の再会で、“楽屋あいさつに行かなあかんな。でも、不義理をしているし、絶対に怒られるやろうな。それか覚えてへんかな”と思っていたんです」

 怒られるつもりで楽屋に行くと、藤村さんは優しかった。

「きみは僕のところには来なかったけど、自分で選んだ道で、いまこうしてテレビに出ているでしょう。僕のところに来ていたら、こうなっていなかったかもしれないんだから、きみが選んだ道は正しいんだから、自信を持ってやりなさい」

「かっこいいでしょ? めっちゃ感動しました。ちょっと泣いてもうたしね。2日間しか一緒にいなかったけど、人生にとって大事な時間だったってことが、こんなふうにあとになってからわかったんですよね」

 小田井さんは噛みしめるように、かけがえのない時間を振り返った。

小田井涼平 撮影/三浦龍司

おだい・りょうへい
1971年2月23日生まれ、大阪府出身。仙台での会社員を経てモデル活動を開始し、上京後、2002年放送『仮面ライダー龍騎』(テレビ朝日系)のメインキャラクターで俳優デビュー。2007年に酒井一圭の誘いで「純烈」メンバーになると、2010年に『涙の銀座線』でメジャーデビューを果たす。スーパー銭湯などを主戦場に熱いファンを獲得し、サービス精神満点のファンサービスが話題に。2018年から卒業した2022年まで『NHK紅白歌合戦』に5回連続出場。2022年10月にはソロアルバム『息子がお世話になりました。』を発売。2017年にタレントで映画コメンテーターのLiLiCoと結婚した。『大好き東北 定禅寺しゃべり亭』(NHK仙台)や『今泊まりたい!いいふろ温泉宿』(BS10)ほかにてレギュラー出演中。