相談しながら現場のみなさんと一緒に鮎美を作っていってる

──夏帆さんが演じるヒロイン山岸鮎美は、“恋人ファースト”がゆえに自分を見失ってしまった女性ですが、「演じてみたい」という気持ちにかられたのはなぜですか?

「自分が想像つかないことをやってみたい……そういうタイミングだったのかもしれないです。ただ、やっぱり実際に演じてみるとすごく難しくて。色々と試行錯誤したり、現場のみなさんと相談したりしながら、一緒に鮎美を作っていってる感じです」

──難しいと感じたのは?

「やっぱり自分と鮎美を重ね合わせるという作業が思った以上に難しかったんです」

──鮎美はどんな女性だと捉えましたか?

「ドラマに関して言うと、鮎美が思い描く幸せというのは安定した家庭を築くことであって、そのためには自分のことを押し殺してでも男の人に好かれようとする。幸せになる基準が相手任せというか受動的で、相手から貰うことだけを考えて生きているようなところがあるんです。でも徐々に、そうじゃないということに気付いていくんです」

──自分が無い、ということでしょうか。

「そうですね。そんな鮎美が、自分自身と向き合って、自立していく。相手に依存しない幸せを見つけていく過程を丁寧に演じられたらと思っています」

火曜ドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(c)TBS

 一方、竹内涼真が演じる海老原勝男は、「料理は女性が作って当たり前」という亭主関白的な思考を持つ男だ。だが、夏帆さんは原作を読んだ時に、素直に勝男を応援したくなったという。どういうことなのだろうか。

「勝男って元々、ちょっと時代遅れというか亭主関白な思考を持っているんですが、そんな勝男が鮎美と別れて、じゃあ自分も料理を作ってみよう……と必死に変わろうとする姿が愛らしいというか、自然と応援したくなるような魅力のあるキャラクターだなと思いました。演じられてる竹内さんご本人は、自分と重なるところもたくさんあると仰っていましたけど、ほんとに勝男そのものって感じがします。現場でもたくさんアイディアを出されていて、どんどん勝男という役が膨らんでいくのがすごいです」