体調も崩しがちで、“これは一生の仕事ではないな”と
宮田「正直、大反対されていました(笑)。だから、しっかり大学と両立させるからと説得してやっとOKをもらえた形で。だから勉強には、すごく協力してくれて。“図書館に行きたい”って言ったら父が大学まで送り迎えしてくれるとか、過保護なくらいに……。感謝しかありません」
丸山「芸能活動も大学も、親の理解は大切ですからね。ということは、アイドルとしてずっと続けていくという選択肢もあったわけじゃないですか。そこから小説家として文芸の世界に進もうと決めた理由は?」
宮田「アイドル活動も本当に充実していたんですけど、当時、アイドルと大学生の両立も体力的に厳しくて……。体調もちょっと崩しがちで、芸能活動をお休みした時期があったりしたのもあって。“これは一生の仕事ではないな”と思っていたんです」

丸山「確かにそういう面はありますよね。次のゾーンに行かないと、というか」
宮田「そんな折に、『アイドル歌会』というイベントに呼んでいただいてお世話になっているうちに、今度は出版社さんから“うちで書きませんか”って声をかけていただいて、小説を書く流れになったんです」
丸山「“小説を書く”という気持ちが最初にあったというよりは、周囲が表現の場を与えてくれたということですね」
宮田「そうですね。強いて言うなら、自分から変わったというよりは、周りの環境が変化してそこに適応していったという感じなんです。もともと小説を書いたりするのは、すごく好きだったんです。でも、何かを書くってこと自体は同人誌とかでもできるじゃないですか。実際、それでもいいと思っていたので、まさか自分がそれを生業にするなんて思ってもいませんでした」
丸山「幸せなことだと思います。でも最初の目標を聞いた感じだと、今でも司書さんとか出版の世界に対する興味は消えてなさそうですね?」
宮田「実はアイドルを卒業したくらいのタイミングで、私立の中高の図書館司書に応募して、面接にも行ったんですよ。落ちましたけど……(笑)」
丸山「それは相手も見る目がないなぁ(笑)」
宮田「自分で小説を作るのも好きですが、誰かに本を読んでもらいたいし、買ってもらいたいんですよ。できれば、紙の本を本屋さんで購入してもらいたい。この熱意だけは、小学生の頃からずっと変わらず抱いている感情なんです。だから、今でもそんなお仕事はやってみたいなという気持ちはありますね」