ぶれなかったのは、大学が楽しすぎたから

丸山「アイドルという華やかな環境に身を置きながら、自分のやりたいことは変わらずに分けて考えられる。何かに依存せずに自己を確立できる宮田さんの素晴らしい人間性をすごく感じますね」

宮田「そう褒められると嬉しいです(笑)。でも、そこがぶれなかったのは、大学が楽しすぎたっていうのも大きいですよ。学生時代は、ずっと博物館か図書館にいました。博物館に関しては企画展が変わるごとに行ってましたし!」

丸山「あそこは確かに面白かったですね。僕が学生の時、博物館は『資料館』って名前だったんですけど、考古学の学生はバックヤードにも入れたし、院生なら図書館の裏側で古い本の収蔵の様子も見られたんですよ」

宮田「それは羨ましすぎます! 見てみたかったーー!」

丸山「これ、お話を聞いてて思ったんですけど、実際に僕も取材に活用しているのですが、考古学の手法に“点と点を結び合わせて仮説を立てる”というのがあるんですね。その手法に宮田さんの背景を結び合わせると、“現代アイドルと古典芸能の立ち位置の類似性”的な美学をもってやっているのかなと思っていました。でも実際にお会いして、それとはまた違うんポリシーを持っていたんだなって、新たな発見をした気持ちです」

宮田「むしろ、アイドルっていう知名度のある立場になったなら、本を読むこととか國學院についてをみんなに広めていっちゃおう…! っていう感覚です(笑)」

丸山「それは素晴らしいことです、ほんとに(笑)」

宮田「ゴンザレスさんは?考古学からどうやって“裏社会ジャーナリスト”に?」

丸山「それこそ、宮田さんと似ているかも。僕も、周り取り巻く環境の変化に適応していったら……というクチなんです(笑)」

【第4回に続く】

宮田愛萌(みやた・まなも)
1998年4月28日生まれ、東京都出身。2023年アイドルグループ卒業時に上梓した『きらきらし』(新潮社)で小説家デビュー。現在は文筆家として小説・エッセイ・短歌などジャンルを問わず活躍。ほか、主な著書に『あやふやで、不確かな』(幻冬舎)、『春、出逢い』(講談社)、『おいしいはやさしい』(PHP研究所)、『わたしのをとめ』(短歌研究社)などがある。また、タレントとして、”本”に関するテーマでテレビ、トークショー、対談などに出演する。

丸山ゴンザレス(まるやま・ごんざれす)
1977年生まれ、宮城県出身。ジャーナリスト、作家、漫画原作者、編集者。國學院大學学術資料センター共同研究員。國學院大學大学院修了後、出版社勤務を経て独立。2005年『アジア『罰当たり』旅行』(彩図社)で作家デビュー。テレビ番組「クレイジージャーニー」(TBS系列)では、世界中のスラム街や犯罪多発地帯を渡り歩く“危険地帯ジャーナリスト”として人気を博す。YouTubeチャンネル「丸山ゴンザレスのディープな世界」はチャンネル登録者数140万人超。近著に『世界の混沌を歩く ダークツーリスト』(講談社)、『世界の危険思想~悪いやつらの頭の中~』(光文社)、『タバコの煙、旅の記憶』(産業編集センター)などがある。

『MASTERゴンザレスのクレイジー考古学 増補改訂版』
丸山ゴンザレス著
本体価格:750円(消費税別)
文庫・288ページ
TBS系列の旅番組『クレイジージャーニー』や、YouTubeチャンネル「丸山ゴンザレスのディープな世界」で大人気の裏社会ジャーナリスト・丸山ゴンザレスが、その活動の原点とも言える考古学について、自身の半生を振り返りながら持論を展開する異色の旅エッセイ。さらに、これまでの取材を通じて見てきた「裏社会」と、学生時代に修士号を取得した「考古学」を融合させた「ハイブリッド考古学」の実証に挑む。2020年に出た単行本を加筆修正し、イラスト、写真、対談記事を加えた改訂完全版!