「“トー横”の様子を、自分の目で見てきました」

──実際に現地に足を運んだことはありましたか?

「演技の勉強のためにも、トー横には実際に何度か行って“トー横”の様子を、自分の目で見てきました。実際の子ども達は、さまざまな格好や顔付きをした人たちがいて、いままで触れたことのない違う世界が広がってるような印象でしたし、初めは正直怖かったですね」

──“初めは”ということは、実情を見聞きしたり勉強をするなかで、気持ちや考え方に変化があったのでしょうか?

「トー横の事情に詳しい方から話も聞いて、現地ではときおり“集会”が行われていること、そして(東急)歌舞伎町タワーができて新宿の空気は明るくなっても、集う子どもたちの状況は何も変わっていないことを知りました。だから、特徴的な格好や目つきなんかも、防衛本能の表れだと気が付いたんです。外から来る人に対して信じる力が乏しい、それくらい居場所を追われた人が多いということなのかなと思いました」

──そういった役柄を演じることに、綱さん自身も難しさを感じることありますか?

「それこそ、僕が演じきれるかには不安もあります。でも、まずは一生懸命やろうという気持ち。お客さまにもそうですし、実際のキッズたちに届けられるように向き合いたいんです。簡単に言える話ではないのは承知していますが、“僕にも彼らに対してなにかできることはないのだろうか”という、自問自答を繰り返しています」