確かな演技力で、数多くの映画やドラマに出演している俳優・山田裕貴。今年は主演映画が3作続くなど、俳優としてめざましい活躍が続く。そんな山田さんの「THE CHANGE」とは──。【第2回/全4回】

山田裕貴 撮影/冨田望

「ずっとリングの中にいるような感覚でした」そう言って、公開中の映画「爆弾」の撮影時を回顧する山田裕貴さん。自身が演じた交渉人の類家と、爆弾の存在を予告する「スズキタゴサク」。一見「正義」と「悪」正反対に見える2人だが、その根底は「同じタイプの人間」と分析する山田さんが、撮影中に感じたこととは?

――映画「爆弾」で「霊感で爆発を予知できます 」と話すスズキタゴサク(演/佐藤二朗、以下タゴサク)との会話を通した探り合いのような心理戦は見応えがありましたが、山田さんはあのシーンでどんなことを感じていましたか?

「多分タゴサクも類家も同じタイプの人間で、違うのは “罪を犯す”か“それをやらない”かだけなんだと思います。どちらも今の世の中に飽き飽きしてうんざりしているし、誰も本気で自分のことを助けてくれるなんて思っていない 」

――類家やタゴサクに共感するようなところはありましたか?

「タゴサクの“どうせ自分以外の困っている人のことなんてどうだっていいんでしょう?”というセリフがありますが、この世界や人に対して諦めを持った2人なので、正直、そこは自分も共感する部分があります。

 たとえば、僕がどうしても耐えられない状況になったら、自分の心を守りたいから撮影現場に行かないという選択をすると思うんです。その結果“あいつは仕事を放棄した”と悪い評価を受けるのも自分なので、僕がどれだけ自分の心を守りたくても、助けてくれる人は周りにどれだけいるんだろうって思うんですよ。そうなったときに“俺が俺を助けるしかない”と立ち上がるのが類家で“まだ爆弾はどこにあるか分からないよ”と思わせ続け、みんなを恐怖に陥れることで世界を壊そうとしているのがタゴサクなので、二人の根底に共通している気持ちは分かるんです。