「この仕事を僕は第一次サービス産業だと言っているんです」
――というと。
「自分の車に行ってケースを開けて、そこからリンゴが入った箱を持ってきて、“今日これ、青森から届いたんだけど、すごく美味しくて普通のリンゴじゃないらしいよ。普通じゃないってことは、リンゴでもないかもね”なんてうそぶきながら、“みんな、寒い中大変だねぇ”って、別に春先で寒くもなかったのに、みんなにリンゴを5つずつ入れた袋を配っていった。おまけに“これも積んでるんだよ”ってウイスキーも1本ずつ渡すんです」
――すごいですね。
「それからパイプを咥えて、ニコっと笑って“きれいに撮ってよ。今日も遊びますよ”と。不倫してるんだかなんだかも、もうどうでもよくなる尺度なんです」
――粋というやつですかね。
「農作物が第一次産業なら、人から人へと情報を伝えるこの仕事を僕は第一次サービス産業だと言っているんです。アナウンサーあがりのしゃべり手で、あそこまでそれを徹底する人はいません。みのさんは、徹頭徹尾、僕にも、とにかくサービスの人でした。僕は、あそこまでできませんけど、人に一生懸命気を使うのが仕事なんだというのは、自分に言い聞かせています。あとは“会話の間”についてもみのさんから学びました」