農業は肉体労働「今やろうって」30歳での選択
「農業の現状や食の大切さとかには昔から興味を持っていて、いずれ時間とお金に余裕が出てきたら始めよう……と思っていたんですが、ふと、“それって何歳になるんだ”って思ったんです。50歳、60歳で引退してから始めるという方もいらっしゃいますが、農業って基本は肉体労働なんですよ。30歳から始める10年と40歳から始める10年だと説得力も全然違ってくるかなって。借金してもいいから、今やろうって思って始めました。それが30歳になった時で、僕の中では大きな選択でした」
――多忙な生活の中で俳優と農業の二刀流は大変では?
「基本的に自分の農園にはオフの日に行くんですが、有り難いことに、今やらせてもらっているバラエティ番組『有吉ゼミ』(日本テレビ系)の中に『楽しい農園生活』というコーナーがあるので、どんなに忙しくても、仕事として赴くことが出来るんです。これも周りの方の協力や支えがあるからこそ出来ることなんですよね」
2021年からは初の冠番組にもなった『工藤阿須加が行く 農業始めちゃいました』(BS朝日)がスタート。工藤さん自身が全国の就農者を訪れてお話しをうかがう……という内容だが、この番組の中での工藤さんは本当に生き生きとして、その楽しい感じが伝わってくる。実際に農業を始めたことによって自身の中で変化はあったのだろうか。
「変化……というよりは気付かさせてもらうことが多いです。一番は一人ではやっぱり生きていけないということ。最初に農業をやりたいと家族に話した時は“やろう”って言ってくれましたし、その後、事務所に相談した時も前向きに受け入れてくれたんです。役者としてここまで大切に育ててもらって、急に“農業やりたい”なんて言われたらビックリするじゃないですか。でも、話を聞いてくれて、スケジュールも調整してくれました。たくさんの人の理解と協力と支えや援助があったから成り立っているので、そのことを考えると一人では生きていけないし、みんなに感謝の気持ちやリスペクトは忘れちゃいけないなってことの気付きがありました」