映画は監督のもの「監督にお任せですけど、“入れ墨を入れる”ということだけは、お願いしました」
――というと。
「もっと藤井監督ならではの作品をやりたかったんですけど、いわゆるエンターテインメントっぽい企画が上がってきていて。藤井監督らしい作品をやりたくて、河村(光庸)さんに相談しました」
※河村光庸……1949年~2022年。『新聞記者』『MOTHER マザー』『ヤクザと家族 The Family』『月』といった話題作を手掛けた映画プロデューサー。
「僕の家が医者家業だったこともあったからか、最初は“医者ものはどうか”とも言われたんですが、僕はドラマ性を考えても、やはりヤクザものがやりたいと思って伝えました」
そこから北陸の港町を舞台にした、元ヤクザの漁師・三浦と、目の見えない少年・幸太との長年にわたる友情と再生を見つめたヒューマンドラマが生まれた。
――三浦からは、男としての生き方の“美学”が伝わってきます。舘さんが本作でこだわったのはどんなところでしょうか。
「映画は監督のものですから、監督にお任せですけど、元ヤクザの三浦として、“最後だけはスーツに”ということと、“入れ墨を入れる”ということだけは、お願いしました。終盤のあるシーンで、シャツ1枚になるんですけど、そのときに入れ墨がうっすらと映るんです」
――水がかかったことで入れ墨が浮かびますね。
「そのために水をかけたようなものですから(笑)。その“うっすらと映る”というところには、ちょっとこだわったかなと思います」