「歌手が向いているとは思わないし、俳優だって、あまり向いてないかもと思うときがあります」
――これまでに作詞、作曲も手掛けられていますが、“また歌詞を書きたいな”とか。
「ないです。最初のときも、この曲に歌詞をつけてと言われて書きました。それが『紫のハイウェイ』(クールス・1975)。そのときから“作詞って、結構つらいものだなぁ”と思っていました」
――ではご自身では向いているとは。
「まったく」
――でもこれだけ支持している人がいるわけですし。
「みんな、“いつかもうちょっとしたら、もう少しは良くなるんじゃないか”と思って待っていただいていただけだと思いますよ。歌手が向いているとは思わないし、俳優だって、あまり向いてないかもと思うときがあります」
これは、謙虚と捉える以外にない。それに申し訳ないが、ご本人が向いていないと感じていたとしても、舘さんは求められ続ける存在なのだ。
つづく
たち・ひろし
1950年3月31日生まれ。愛知県出身。1976年に映画『暴力教室』で俳優デビューし、1983年に石原プロモーションへ入社。1986年のドラマ『あぶない刑事』(日本テレビ)で大ブレイクし、同作はシリーズ化、最新作となる映画版『帰ってきた あぶない刑事』が2024年に公開されるなど、今も続く人気作となっている。近年の主な出演作に映画『アルキメデスの大戦』(19)『ヤクザと家族 The Family』(21) 『ゴールデンカムイ』(24)など。また内館牧子の長編小説を映画化した『終わった人』(18)では第42回日本アカデミー賞優秀主演男優賞ほか、多くの賞に輝いた。歌手としても、作曲を務めた『泣かないで』など、多くのヒット曲を持つ。2021年に芸能事務所『舘プロ』を設立。
●作品情報
『港のひかり』
監督・脚本:藤井道人
企画:河村光庸
撮影:木村大作
音楽:岩代太郎
美術:原田満生
出演:舘ひろし、眞栄田郷敦、尾上眞秀、黒島結菜、斎藤工、ピエール瀧、一ノ瀬ワタル、MEGUMI、赤堀雅秋、市村正親、宇崎竜童、笹野高史、椎名桔平
制作プロダクション:Lat-Lon、舘プロ
配給:東映、スターサンズ